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FlowBack LIVE TOUR 2019-2020 "Connect" ライブレポート

ラッパー、バンド、シンガーソングライター、そしてダンスボーカル。様々なジャンル・スタイルのアーティストが集う対バンツアーを、見たことがあるだろうか。

 

男性5人組グループFlowBackは、昨年11月より合計12組のアーティストを迎えて全国8都市巡る対バンツアーを開催。ゲストアーティストはさなりやRude-αといったラッパーから、SPiCYSOLやBentham、THREE1989といったバンド、KAIKIやLeolaといったシンガーソングライターまで、ジャンルもスタイルも多岐にわたる。そんな異種格闘技戦のような対バンツアーのファイナルが、昭和女子大学人見記念講堂にて開催された。SPiCYSOL、FIVE NEW OLD、claquepotをゲストに迎えたこの日のLIVEの模様をお伝えしたい。

 

重低音が効いたSEの中登場したのは、このツアーの主催者であるFlowBack。彼らの覚悟を歌った"OverDrive"で、ツアーファイナルの幕開けを知らせる。迫力あるパフォーマンスでホール中から一気に目線を集めると、そのまま1st フルアルバムの表題曲である"VERSUS"へ。開演してから10分も経っていないとは思えないほど一気に会場の温度が上がる。

 

FlowBackによるオープニングが終了すると、まず登場したのは、今回のツアーでさなりと並び最も出演回数が多いSPiCYSOL。The Surf Beat Musicを掲げるロックバンドで、ボーカルのKENNYは「テラスハウス」に出演したことでも話題だ。

爽快感のある"Traffic Jam"で始まり、chillで刺激的な音楽で会場を揺らしていく。Alicia Keysの"If I Ain't Got You"のカバーを披露すると、YouTubeにてパフォーマンスMVが公開されている"Honey Flavor"の大人な雰囲気が会場の色を変えていく。"Coral"、"After Tonight"ではKENNYの甘く温かな声が響き渡り、会場を多幸感が包みこんだ。

 

次に登場したのは、FIVE NEW OLD。今回のツアーで初めての登場となる彼らは、R&B、ブラックミュージック、ロック、ゴスペルなどにルーツを持つサウンドと、ボーカルHIROSHIの美しい歌声と英詞で圧倒的人気を集めている。

デビューEPの表題曲である"By your side"で一気に観客をFiNOワールドに引き込むと、"What's Gonna Be?"や"Fast Car"ではボーカルHIROSHIの自由でパワフルなパフォーマンスが炸裂する。艶やかな歌と無意識のうちに体が揺れてしまう彼らの音楽と圧巻のステージに、初めて彼らのLIVEを見た人でさえも、鮮烈な記憶が刻み込まれただろう。

 

最後のゲスト、シンガーソングライターのclaquepotも今回のツアーでは初めての登場だ。ダンスボーカルグループDa-iCEのメンバーである工藤大輝の双子の兄だという彼は、LIVE会場に行かないとその素顔を見ることのできない謎のアーティストとしてじわじわと支持を集めている。

世界的ダンスクルーGANMIとのコラボでも話題の"Choreo"や、切ないラブソング"バイバイ"で会場中を虜にすると、"ahead"では観客を巻き込みライブを作っていく。巧みに構成されたトラックと、1度聞いたら忘れられない中毒性のある歌声で、この日唯一のソロシンガーながらも他の出演者に負けない豊かなステージを魅せた。

 

 

ゲスト3組のライブが終わると、黒のシャツに黒のスーツで登場した彼らは、昨年のクリスマスにリリースしたコンセプトミニアルバム「WINTER TRIP」に収録されている"taste"で再びFlowBackのショーの幕を開ける。この楽曲は、メンバーのMASAHARUが作詞を手がけ、三浦大知BTS、AIと言った錚々たるアーティストの楽曲を手掛けてきたプロデューサーUTA氏やyohei氏が作曲を担当。大人の恋愛を描いたR&Bテイストの一曲で魅せる。続く2曲目もミディアムR&Bの"Repeat"。オープニングで気迫あるパフォーマンスを見せた彼らと同一人物と思えないほど、洗練された大人なステージを織りなす。3曲目の"Come A Long Way"では、洗練されたステージから一転し、人間味のあるステージへと変化させた。

 

MCを挟み、続いて槇原敬之の"冬がはじまるよ"をカバー。こちらも"taste"と同じく「WINTER TRIP」に収録されている。心温まる可愛らしいコレオグラフで会場に笑みが溢れると、心も体も踊り出す"Weekend"、かっこよさと可愛さを併せ持つ"Good time"で一気に駆け抜けると、インディーズ時代から歌い続けている"All This Time"では、ステージと客席で白熱したバトルが繰り広げらているかように互いにエネルギーをぶつけ合う。興奮と歓声を残したまま会場が暗闇に包まれた次の瞬間、初披露の"Fireworks"に観客は一瞬にして五感が奪われる。この楽曲はテレビアニメ"BORUTO"の1月度エンディングテーマに起用されている。不規則に並んだオレンジ色の照明が炎をあげ輝くそれぞれの人生を、繊細でドラマティックなコレオグラフが強く美しく燃える花火を想起させる。思わず息を飲むようなパフォーマンスは、これまでの彼らにはなかった澄んだ空気を作り出した。

 

バラードパートでは、冬をテーマにした珠玉のバラード"雪色"、ゴスペラーズのカバー曲である"星降る夜のシンフォニー"を続けて披露。ホール特有の響き、幻想的な無数の照明が、異世界へと誘う。バラードパートの後はFBF(=FlowBackのファンの総称)だけでなく多方面から愛される"Heartbreaker"で再び会場の心拍数を上げいていき、続く"BREAKOUT"の熱いパフォーマンスに会場のボルテージは最高潮へ向かっていく。サビでは振り付けに合わせ会場全体が拳を高く挙げ、会場全体が一つに。本編ラストはSEKAI NO OWARIのカバー曲、"スターライトパレード"。FlowBackによってダンサブルな曲となったこの曲で、フェス会場かと錯覚するほどの盛り上がりを見せた。

 

 

鳴り止まないFlowBackコールの中、突如冬の寒さを吹き飛ばすように"イケナイ太陽"が流れ出す。ORANGE RANGEのヒット曲のカバーで、FlowBackのLIVEでの定番曲となりつつあるこの曲で、一度落ち着いた会場内の熱が再び上昇する。REIJI・JUDAI作詞、MASAHARU作曲の"きみのうた"で、FBFへ、来場した対バン相手のファンへ、丁寧に感謝を届ける。気迫あるパフォーマンス、大人なパフォーマンス、元気で可愛らしいパフォーマンス、限られた時間の中で様々なパフォーマンスを魅せてきた彼らだったが、最後は実直な彼ららしく、気持ちをまっすぐに伝え、ショーの幕を閉じた。

 

 

音楽は時に、リスナーによって発信者の意図を全く無視して勝手にカテゴライズされる。固定概念を押し付けられ、聞くことすらも拒絶されることがある。今回のジャンル・スタイルを超えた対バンツアーは、彼らが今までその拒絶を何度も経験してきたからこそ、挑戦し、成し遂げられたツアーだっただろう。「歌って踊るだけで色眼鏡で見られることもあった」というリーダーTATSUKIの言葉には、最終日を迎えるまでに決して簡単ではない道のりを歩んできたことを感じさせた。

 

ジャンルを超え、「FlowBack」という存在を確立すべく、信じる道をひたすら歩み続け、様々な壁に立ち向かう彼ら。テレビアニメ「BORUTO」エンディングテーマという大役に抜擢され、新たな境地に足を踏み入れたFlowBackが、これからどんな風を吹かせるのか、どんな花を咲かせるのか、期待が高まる。