もしあなたに出会えていなかったら

FlowBackのことが好きな人によるブログです。好きなことを好きなだけ書きます。

FlowBack LIVE TOUR 2019-2020 "Connect" ライブレポート

ラッパー、バンド、シンガーソングライター、そしてダンスボーカル。様々なジャンル・スタイルのアーティストが集う対バンツアーを、見たことがあるだろうか。

 

男性5人組グループFlowBackは、昨年11月より合計12組のアーティストを迎えて全国8都市巡る対バンツアーを開催。ゲストアーティストはさなりやRude-αといったラッパーから、SPiCYSOLやBentham、THREE1989といったバンド、KAIKIやLeolaといったシンガーソングライターまで、ジャンルもスタイルも多岐にわたる。そんな異種格闘技戦のような対バンツアーのファイナルが、昭和女子大学人見記念講堂にて開催された。SPiCYSOL、FIVE NEW OLD、claquepotをゲストに迎えたこの日のLIVEの模様をお伝えしたい。

 

重低音が効いたSEの中登場したのは、このツアーの主催者であるFlowBack。彼らの覚悟を歌った"OverDrive"で、ツアーファイナルの幕開けを知らせる。迫力あるパフォーマンスでホール中から一気に目線を集めると、そのまま1st フルアルバムの表題曲である"VERSUS"へ。開演してから10分も経っていないとは思えないほど一気に会場の温度が上がる。

 

FlowBackによるオープニングが終了すると、まず登場したのは、今回のツアーでさなりと並び最も出演回数が多いSPiCYSOL。The Surf Beat Musicを掲げるロックバンドで、ボーカルのKENNYは「テラスハウス」に出演したことでも話題だ。

爽快感のある"Traffic Jam"で始まり、chillで刺激的な音楽で会場を揺らしていく。Alicia Keysの"If I Ain't Got You"のカバーを披露すると、YouTubeにてパフォーマンスMVが公開されている"Honey Flavor"の大人な雰囲気が会場の色を変えていく。"Coral"、"After Tonight"ではKENNYの甘く温かな声が響き渡り、会場を多幸感が包みこんだ。

 

次に登場したのは、FIVE NEW OLD。今回のツアーで初めての登場となる彼らは、R&B、ブラックミュージック、ロック、ゴスペルなどにルーツを持つサウンドと、ボーカルHIROSHIの美しい歌声と英詞で圧倒的人気を集めている。

デビューEPの表題曲である"By your side"で一気に観客をFiNOワールドに引き込むと、"What's Gonna Be?"や"Fast Car"ではボーカルHIROSHIの自由でパワフルなパフォーマンスが炸裂する。艶やかな歌と無意識のうちに体が揺れてしまう彼らの音楽と圧巻のステージに、初めて彼らのLIVEを見た人でさえも、鮮烈な記憶が刻み込まれただろう。

 

最後のゲスト、シンガーソングライターのclaquepotも今回のツアーでは初めての登場だ。ダンスボーカルグループDa-iCEのメンバーである工藤大輝の双子の兄だという彼は、LIVE会場に行かないとその素顔を見ることのできない謎のアーティストとしてじわじわと支持を集めている。

世界的ダンスクルーGANMIとのコラボでも話題の"Choreo"や、切ないラブソング"バイバイ"で会場中を虜にすると、"ahead"では観客を巻き込みライブを作っていく。巧みに構成されたトラックと、1度聞いたら忘れられない中毒性のある歌声で、この日唯一のソロシンガーながらも他の出演者に負けない豊かなステージを魅せた。

 

 

ゲスト3組のライブが終わると、黒のシャツに黒のスーツで登場した彼らは、昨年のクリスマスにリリースしたコンセプトミニアルバム「WINTER TRIP」に収録されている"taste"で再びFlowBackのショーの幕を開ける。この楽曲は、メンバーのMASAHARUが作詞を手がけ、三浦大知BTS、AIと言った錚々たるアーティストの楽曲を手掛けてきたプロデューサーUTA氏やyohei氏が作曲を担当。大人の恋愛を描いたR&Bテイストの一曲で魅せる。続く2曲目もミディアムR&Bの"Repeat"。オープニングで気迫あるパフォーマンスを見せた彼らと同一人物と思えないほど、洗練された大人なステージを織りなす。3曲目の"Come A Long Way"では、洗練されたステージから一転し、人間味のあるステージへと変化させた。

 

MCを挟み、続いて槇原敬之の"冬がはじまるよ"をカバー。こちらも"taste"と同じく「WINTER TRIP」に収録されている。心温まる可愛らしいコレオグラフで会場に笑みが溢れると、心も体も踊り出す"Weekend"、かっこよさと可愛さを併せ持つ"Good time"で一気に駆け抜けると、インディーズ時代から歌い続けている"All This Time"では、ステージと客席で白熱したバトルが繰り広げらているかように互いにエネルギーをぶつけ合う。興奮と歓声を残したまま会場が暗闇に包まれた次の瞬間、初披露の"Fireworks"に観客は一瞬にして五感が奪われる。この楽曲はテレビアニメ"BORUTO"の1月度エンディングテーマに起用されている。不規則に並んだオレンジ色の照明が炎をあげ輝くそれぞれの人生を、繊細でドラマティックなコレオグラフが強く美しく燃える花火を想起させる。思わず息を飲むようなパフォーマンスは、これまでの彼らにはなかった澄んだ空気を作り出した。

 

バラードパートでは、冬をテーマにした珠玉のバラード"雪色"、ゴスペラーズのカバー曲である"星降る夜のシンフォニー"を続けて披露。ホール特有の響き、幻想的な無数の照明が、異世界へと誘う。バラードパートの後はFBF(=FlowBackのファンの総称)だけでなく多方面から愛される"Heartbreaker"で再び会場の心拍数を上げいていき、続く"BREAKOUT"の熱いパフォーマンスに会場のボルテージは最高潮へ向かっていく。サビでは振り付けに合わせ会場全体が拳を高く挙げ、会場全体が一つに。本編ラストはSEKAI NO OWARIのカバー曲、"スターライトパレード"。FlowBackによってダンサブルな曲となったこの曲で、フェス会場かと錯覚するほどの盛り上がりを見せた。

 

 

鳴り止まないFlowBackコールの中、突如冬の寒さを吹き飛ばすように"イケナイ太陽"が流れ出す。ORANGE RANGEのヒット曲のカバーで、FlowBackのLIVEでの定番曲となりつつあるこの曲で、一度落ち着いた会場内の熱が再び上昇する。REIJI・JUDAI作詞、MASAHARU作曲の"きみのうた"で、FBFへ、来場した対バン相手のファンへ、丁寧に感謝を届ける。気迫あるパフォーマンス、大人なパフォーマンス、元気で可愛らしいパフォーマンス、限られた時間の中で様々なパフォーマンスを魅せてきた彼らだったが、最後は実直な彼ららしく、気持ちをまっすぐに伝え、ショーの幕を閉じた。

 

 

音楽は時に、リスナーによって発信者の意図を全く無視して勝手にカテゴライズされる。固定概念を押し付けられ、聞くことすらも拒絶されることがある。今回のジャンル・スタイルを超えた対バンツアーは、彼らが今までその拒絶を何度も経験してきたからこそ、挑戦し、成し遂げられたツアーだっただろう。「歌って踊るだけで色眼鏡で見られることもあった」というリーダーTATSUKIの言葉には、最終日を迎えるまでに決して簡単ではない道のりを歩んできたことを感じさせた。

 

ジャンルを超え、「FlowBack」という存在を確立すべく、信じる道をひたすら歩み続け、様々な壁に立ち向かう彼ら。テレビアニメ「BORUTO」エンディングテーマという大役に抜擢され、新たな境地に足を踏み入れたFlowBackが、これからどんな風を吹かせるのか、どんな花を咲かせるのか、期待が高まる。

 

 

中途半端な雑食オタクが選ぶ2019年の10曲

新年明けましておめでとうございます。本年も何卒宜しくお願い致します。

 

さて、今回はタイトル通り、中途半端にいろんな音楽をかじったオタクが選ぶ2019年の10曲を紹介したいと思います。何か書きたいけど何も書くことがなくて暇していたオタクの暇つぶしなので、さらっと読んでください、読むのはさらっといいので絶対に聞いてください(圧)

 

以下の10曲は、私が2019年よく聞いたなと思う2019年リリースの曲の中から、ピックアップした曲たちです。アーティストが被らないように選曲してみました。

ちなみに数字を振ってますが順番は適当なのであまり気にしないでください。順位をつけようかとも思ったのですが到底無理だったので諦めました。

 

それでは、張り切ってどうぞ〜〜!!

 

 

1. Ma boy / eill

https://open.spotify.com/track/1ZCoASbevQie1sF2fi5Cyy?si=16cYdrGxS1uHTFPXQmKJ2g

 

シンガーソングライターの女の子eill(エイル)の、ファーストアルバムに収録された1曲。シンプルなピアノのイントロとは対照的に中身は盛りだくさん。歌詞がとにかく可愛くて、特にお気に入りなのは2番の序盤。

「心のビタミン 不足しがち ねえアレをお願い  キャラメルと塩のハーフじゃなきゃ絶対いやAlright?」

いや可愛すぎん??????心のビタミンって言い方可愛すぎだし「アレ」って何??「アレ」って!!ひゃーーーっっ!!さらに「キャラメルと塩のハーフじゃなきゃ絶対いや」って、、、駄々っ子可愛すぎんか????

取り乱しましたが、とにかく可愛いが詰まっていて、クライマックスに向け心拍数が上がってしまう1曲です。

Official HP : https://eill.info/#top

 

 

2. Taking My Time / Anly

https://open.spotify.com/track/76BiCcKMtOycY9YyhQ2zOZ?si=2wIKyRrLQIaDcQjpZA69TA

 

こちらも女性シンガーソングライター、Anlyの1曲。本人へのインタビューによれば、「恋人以上友達以上の歌で、あまり急ぐと今の楽しい関係が崩れてしまうかもしれないので、今を楽しみたいという気持ちを歌っています。」とのこと。Anlyと言えば、情動を揺さぶられるような豊かな歌声が魅力の1つですが、この曲では彼女にしてはかなり熱を抑えた歌い方で歌い上げています。高ぶる気持ちを抑えるような歌い方がこの曲の詞とマッチしてグッときます。

Official HP : https://www.anly-singer.com

 

 

3. HOUSE / Lucky Kilimanjaro

https://open.spotify.com/track/265taZuRYHrRDYhnBU1AI5?si=1Ny4NLVqTL2gH4aP0X0nsw

 

せっかくの休みなのに、布団から出たくない…家から出たくない…。そんなあなたの背中を強く押すどころか全力でオフトゥンに引き戻す1曲。この曲をかければたとえ六畳一間でもあっという間に自分だけのディスコに大変身。せっかくの休みだからこそ全力で休みたいあなたに聞いてほしい1曲です。個人的に2020年バズってほしいアーティストのうちの1組です。またライブ行きたい。オススメがあり過ぎるので、またちゃんと機会を設けて紹介したいと思います。

Official HP : http://luckykilimanjaro.net

 

 

4. Playlist / shinn yamada

https://open.spotify.com/track/0mFSUR8OCqL31n4FBNmIJg?si=WgYQCcIJThCpqwuXhtfpKA

 

正体不明のアーティスト、shinn yamada。「私は11月にSpotifyで出会ったんですが、彼をご存知の方はいつどちらで出会いましたか…?」と問いたくなるほど彗星の如く、突然かつ圧倒的存在感を放って目の前に現れた彼。一体何者なのかと戦々恐々としながら供給される曲たちに体を委ねている次第であります。2020年バズってくれ。そしてもっと正体を明かされてくれ。

Official Twitterhttps://mobile.twitter.com/shinnyamada

 

 

5. 20-TWENTY- / 竹内アンナ

https://open.spotify.com/track/1ZdMi6qPPrQuMxOO8Gckzc?si=yC0DbsSOTaWdZLVHmMT_2g

 

またもや女性シンガーソングライター。個人的に2020年バズってほしいアーティストの1人。LA生まれ京都在住の現役大学生が魅せる、エキゾチックでミステリアスな、危険な香りが漂う場所でさえ冒険したくなるような楽曲。彼女のシルクのような歌声を生で聴いたら確実に心奪われることでしょう。「SUNKISSed GIRL」も元気が貰えてオススメ。今年こそワンマンに行きたいと思っているのですが、春ツアーの東京公演は、既にチケット入手済みのeillのツアー東京公演と被ってしまった…。遠征するか…。

Official HP : https://takeuchianna.com

 

 

6. Don't Try To Be Perfect / FIVE NEW OLD

https://open.spotify.com/track/4MSOj70MuLaYgkcoivHplD?si=OU3jbeYjTKqkREAe7Txjrg

 

もはや彼ら自身の説明は不要でしょう。バンドに詳しくないという方でもFBFさんであればご存知だと思います。ちょうど自分が精神的に落ちていた頃にリリースされ、一時期わたしの心の支えとも言うべき存在でした。“What’s gonna be?”がピックアップされることが多いですが、あくまで今回は個人的なチョイスなので、かなり私情を挟んでます。「完璧であろうとしなくてもいい」神々しい和音と共に織りなされるこの言葉の包容力は、当時のわたしにとっては心強いものでしたし、今でも心が折れそうなときに聞く1曲であります。

Official HP : https://fivenewold.com

 

 

7. #Slaysian

https://open.spotify.com/track/2GkCeSkmYxUfKorH5MofwX?si=MLwwfc2ETLSsyW6WmarsyA

 

リアルな女子を表現し続けるガールズスクワッド、BananaLemon。2018年に3人体制になり、2019年4月に新メンバーを加え、再び4人体制となった彼女達。この曲は新メンバー加入の際に発表された曲で、彼女達の女性としての、人としての強さを知らしめる1曲。初めて聞いた時に「え、ここで終わるの?!もっと聞きたいんだけど??ここで終わるの??」と衝撃を受けたことを、昨日のことのように思い出します。1分52秒の大逆転劇。1度聞いたら確実に中毒症状になるのでお気をつけを。Spotifyによれば2019年で私が最も再生した曲らしいです。

Official HP : https://www.bananalemon.jp

 

 

8. YOU / ASOBOiSM

https://open.spotify.com/track/49kzxU9KkJso6gIQAZFlik?si=iViKuPB5QHut7u9cwwgt6Q

 

綺麗事でもなくフェイクでもなく、“リアル”を巧みに表現するシンガーソングライターASOBOiSM。この曲は世にはびこるマウント奴バスターと言うべき1曲。いるよね、自分の自慢話しかしないインコみたいな人間。そんな人たちを一蹴する1曲。聴くとスカッとするので、マウント奴に悩まされている人は必聴。2019年LIVEに行けなかったので2020年こそは行きたい。

Official HP : https://asoboism.wixsite.com/official

 

 

9. bargain / 白神真志朗

https://open.spotify.com/track/1GBJpnyJIqGfpWavzYavYE?si=Xcsf4hy9T3mwnTQDnNEtCQ

 

シンガー・ベーシスト・コンポーザー・アレンジャー・レコーディングエンジニアなど様々な顔を持つアーティスト。この曲はエキゾチックでどこか哀愁を感じるフレーズが印象的な1曲。聴く度に詞の意味を考え想像を膨らませています。出会った時の衝撃は大きかったし、出会えて良かったと思うアーティスト。言わずもがなバズってほしいアーティストの1人。

Official HP : http://www.thestellathinkers.com

 

 

10. taste / FlowBack

https://open.spotify.com/track/36oAL8oMCylJqcGx6gk1xg?si=x0wFgJF6RaCkvSFGuCbLHg

 

5人組ダンスボーカルグループ、FlowBackが12月にリリースしたアルバムの1曲。結成当初から作詞作曲を手がけ、個人的に楽曲制作も行なっているMASAHARUが作詞を担当。今回届けるのは「大人の恋愛」。とりあえず是非歌詞カードを手にとって読んで頂きたいのですが、おそらくこの人は“I love you”を「月が綺麗ですね」と訳せる人なんだなと。本人はそんなキザなこと言えないと言うかもしれませんが、空気感や温度感を絶妙に言語化できる人だと思います。そんな彼が書いた詞を乗せたuta氏のプロデュースのトラックが最高に心地良い1曲。言葉や物以外で繋がっていたいけど結局そういったものが欲しくなってしまう私はまだまだおこちゃまだなと感じる今日この頃です。

Official HP : https://fc.flowback05.com/s/n45/?ima=0220

 

 

いかがでしたか?(突然のアフィリエイト感)

 

こうして見ると、私シンガーソングライターさん好きですね(笑)全て以下のプレイリストに入ってるので、今回掲載していない曲も含めて是非聴いてみてください。

https://open.spotify.com/user/mamitruth/playlist/5avEFUXRBpuVe6MYVdBcOr?si=eEcXEuIkSQSIkeBxBqBbLg

 

 

自分の好きなアーティストさん達の曲を掻い摘んで主観丸出しで紹介するの結構楽しかったので、誰得だよって話ですが、またやりたいと思います。四半期に1回くらいできたらいいな。

 

2019年も、いい音楽が溢れ過ぎていて追いつけなかったな(幸せ)

 

2020年もいい音楽に出会えることを願って、このブログの締めとさせて頂きます。

 

 

2020.01.05

FlowBack LIVE TOUR 2019 “do not hesitate” ライブレポート

  自身2枚目となるフルアルバム “do not hesitate” を6月にリリースした5人組ダンス&ボーカルグループ FlowBack。このアルバムは躊躇せず多様な音楽に挑戦していくというテーマのもと、ジャンルレスな楽曲が詰まった1枚となっている。そしてこのアルバムを引っ提げた6大都市を巡るライブツアーを7月より開催。ツアー直前にメンバーのMARKが体調不良により欠席することが発表され、結成6年目にして初めて4人でツアーファイナルを迎えた。今回はEX THEATER ROPPONGIで行われたツアーファイナルの様子をお伝えしたい。

 

  予定より15分ほど遅れてスタートしたツアーファイナル。アルバムの1曲目に収録されている “INTRO” が流れると、FBF(FlowBackのファンの総称)の不安と期待が一瞬で熱気へと姿を変える。アルバムのリード曲である “By your side” 、今年1月に発売された7th Singleの “Weekend” で会場のボルテージを徐々に上げていく。続く “Good Time” は疾走感とチャーミングさを併せ持つ、楽しさ溢れる楽曲。かっこよさと可愛さの両面が詰め込まれた、FBFにとっては堪らない1曲である。

  MCで自己紹介をすると、早速次のセクションへ。トロピカルにリバイバルされたYUIの “SUMMER SONG” で夏の感覚を一気に蘇らせると、アルバム収録曲のミディアムR&B “Repeat” で艶やかに魅せる。楽曲はミディアムテンポながらもスピード感のある優美なコレオグラフ、星空の中にいるかのようなロマンチックな照明が、彼らの新たな魅力を引き出した。“Repeat” の余韻を残しつつ、絶えない絆を歌った “ALWAYS” を披露。

  一度メンバーがステージから姿を消すと、FlowBackのシングル曲を回顧するかのようなBGMが流れ、次なる楽曲に期待が高まる。すると “Get you!!” のイントロが流れ、メインステージには4人の男性と2人の女性が踊る姿が。会場にどよめきが走ると暗転するステージ。このまま “Get you!!” が始まると思いきや、メインステージではなく、なんとこの日特別に設置されたセンターステージに虹色の光に包まれたメンバーが登場。予想外のサプライズで会場を沸かせ、恋するおとこのこの甘酸っぱい気持ちを歌った “Get you!!” で全FBFを虜にした。そのままセンターステージでサポートダンサーと共に “Wake Me Up〜2018 ver.〜” で会場を盛り上げると、今回のアルバムで満を持して音源化された “Let Me Love You”、メジャーデビュー前から歌い続けられてきた “All This Time” を続けて披露。MCを挟み、FlowBack史上初となる女性目線の切ないラブバラード “Last Song” をしっとりと歌い上げた。

  更にその後のMCでは、今回のアルバム及びツアータイトル “do not hesitate” になぞらえ、躊躇せずメンバーに対する本音をぶつけようというコーナーを実施。じゃんけんで選ばれた1人がヘッドフォンをし、他のメンバーやFBFがそのメンバーに対する印象や褒め言葉、直してほしいところ等を率直に言うという企画。今回はこれまでの5公演で一度も言われる側になったことがないMASAHARUに決定。FBFからは「暑さにも寒さにも弱そう」「何も考えてなさそう」「陰キャ」といった愛のある(?)本音が続出。メンバーからは「いつもREIJIの鼻を触ってる」「ヘッドフォン外して聞いてほしいけど、もっとツイートして」などの、こちらも愛のある(?)本音が続出。会場はしばし笑いに包まれた。

  MCが終わると、初めてFlowBackのライブに来た人もいるかもしれないからと、今回のアルバムには収録されていない既存曲も惜しみなく披露。名刺代わりの1曲として知られる “BOOYAH!” は、2番のラップで「ここからNew Version」というJUDAIの合図と共にテンポアップ。楽曲もコレオグラフもアップデートされた “BOOYAH!” で観客を驚かせると、1st フルアルバムの表題曲である“VERSUS”が始まると、会場は汗ばむほどの熱気に包まれる。速まった鼓動をさらに加速させるように始まる “OverDrive”。この曲はFlowBackの「覚悟」を歌った楽曲であり、圧倒的なパフォーマンスで会場中の視線を釘付けにした。「最初からそうずっと…最後までそうきっと…No Other One」そう暗闇の中、荒い呼吸で、自身に言い聞かせるようなTATSUKIの言葉で始まった “No Other One”。欠席しているMARKの分を補うように、普段はラップパート以外歌うことがないJUDAIがMARKパートを必死に歌う。体力の限界はとうに超えているであろう4人だが、続けて “BREAKOUT” で会場を再び一つにし、本編最後のMCに突入。初めて4人でツアーを回ることに対しての不安を見せながらも、来場したFBFに心からの感謝を伝えたリーダーTATSUKI。REIJI,JUDAI作詞、MASAHARU作曲の “きみのうた” で溢れんばかりのありったけの想いをFBFにぶつけた。

  本編が終了するとどこからともなく湧き上がるFlowBackコール。それに応じるようにツアーTシャツに着替え再びステージに登場したFlowBack。LIVE定番曲の “Let’s Get Together” で一気に会場を盛り上げると、カバー曲の“イケナイ太陽”ではバンドのライブかと錯覚するほどステージ上も客席も激しく熱い盛り上がりを見せた。最後のMCでは、グッズデザイン担当のREIJIが、グッズTシャツのデザインについて丁寧に語った。そして、欠席していたMARKが帰ってくることが発表されると、祝福と歓喜の声で溢れる会場。涙を目に浮かべるFBFに対し、「次の曲で盛り上がらないとMARK帰ってこないようにするからね!」と冗談を交えて煽り、最後の曲 “WE ARE!!” がスタート。間奏ではJUDAIが給水用の水を自身の頭にかけるほど、熱い渾身のパフォーマンスを披露。会場全体の心が共鳴し、会場にいた全員で “WE ARE!!” を創り上げた。

  全20曲、全力のパフォーマンスで全ての人を魅了したツアーファイナルは、TATSUKIの「“WE ARE!”…僕たちと、FBFと、FBC(FlowBackのスタッフの総称)。みんなで一緒にまたライブを作り上げていきましょう!」という挨拶で幕を閉じた。

 

  メンバー1人不在の中ツアー6公演を完走し、その途中にメジャーデビュー3周年を迎えたFlowBack。活動休止中であったMARKの復帰が決定し、それに伴いツアー追加公演として、FlowBackのスタート地点とも言える渋谷WOMBでの全編生配信の「0人ライブ」の開催が発表された。さらに結成6周年記念ライブやメジャーデビュー後初の対バンツアーの開催も発表されている。突然のメンバーの活動休止を乗り越え、躊躇せず加速するFlowBack。彼らの真価を見せつけてくれる1年になりそうだ。

 

2019.09.16

 

 

 

 

虎の衣を借る兎

彼を一言で表すと、虎の衣を借る兎だと思っている。もちろん造語だ。他人の権威に頼って威張るという意味の虎の威を借る兎から勝手に今日私が作った。


うさぎは寂しいと死んでしまうとよく言われるが、寂しくて死ぬことはないらしい。ただし、12時間以上絶食状態が続くと死んでしまうそうだ。つまり、こまめにお世話をしてあげなければならないのだ。以上私調べ。

 


彼は、「お世話」とまではいかなくても、誰かの手を借りなければ生きていけないタイプの人間だと思う。人に手を差し伸べ、人に手を差し伸べられ、手を取り合ってきたからこそ、生きてこられたのだと思う。今のグループでの活動もそうだ。もし彼が1人だけでステージに立ち続けていたら、彼の心はきっと疲れ切ってしまっていただろう。

彼の心の強度は、あまり高くないように思える。そのあまり強度の高くない心を守るために、彼は鎧を被ることを覚えてしまったように感じる。その鎧はなかなか外されることはなかったし、外したと思ったらまた被って…を繰り返していたように見えた。

彼は時に、火種を撒く。その火種は花火と化し、見る人に夢や希望を与え、魅了する。その一方で、その火種は爆弾と化し、その燃え滾る炎を見て人は逃げていくなんてこともある。私たちでさえ彼に振り回されることがあるのだから、きっと近くにいる人は大変だろうな、なんて思ってしまう。

 

それでも人が彼に自ずと手を差し伸べてしまうのは、高い愛されスキルと、愛らしいあの笑顔と、溢れ出るカリスマ性のおかげだろう。

 


今、人生100年時代と言われている。彼は100年のうちの4分の1、つまり四半世紀を生きたことになる。彼の四半世紀は、どのような人生だったのだろうか。幸せな四半世紀だっただろうか。それとも絶望の四半世紀だっただろうか。

もし絶望の人生だったなら、この先の4分の3は、少しでも幸せだと思える人生になってほしいし、もし幸せな人生だったのなら、もっともっと幸せになってほしい。

 


【虎の衣を借る兎】

意味:か弱くとも気高く生き、人々から愛されること

 


まーくちゃん、25歳のお誕生日おめでとう!

答えを探し求めて

The Answer ツアーのファイナルを迎えてから2週間ほど経過した。アルバム発売やツアー開催が発表されたり、REIJIのイラストの展示会が開催されることが発表されたり、Twitterアカウントは統一されたり、MASAHARUは金髪になったり、何かと忙しなく時間が過ぎていった。

今週末から始まるリリースイベントを前に、FlowBack史上最大規模であった20都市25公演のLIVE TOUR 2019 "The Answer"が私自身に、私たちFBFにもたらしたもの、一言で言うならば、"The Answer ツアーの意義"について、整理したいと思ったので書き始めた。

予めご了承頂きたいのは、ここに書いてあることはあくまで一個人の主観的な意見であり、必ずしもFBF全員が思っていることではないということだ。共感することもあるかもしれないし、反論したくなるようなこともあるかもしれない。反論したければしてもらって構わないし、むしろ意見が聞きたい。反論でなくとも、これを読んで何か思ったことがあれば、あなたの言葉で発信してほしい。


前置きはこのくらいにして、本題に入りたいと思う。

私が思うこのツアーの意義は、楽曲の再定義、"FBC"という存在の顕在化、熟考の契機の3つだ。1つずつ詳しく述べていきたい。

 

1. 楽曲の再定義

まずは楽曲の再定義である。これは、全ての曲という訳ではなく、一部の曲に関してのみだ。一口に「楽曲の再定義」と言っても、意識的に再定義した曲と、無意識のうちに再定義されていた曲の、2種類に分類される。前者は、FlowBack自身が新たな意味を見出し、それをパフォーマンスに反映させた曲で、“Let’s Get Together”や“Come A Long Way”が挙げられる。後者は、おそらくFlowBackもFBFも意識した訳でなく、自然と互いが共鳴し合い新たな意味を与えた曲で、"WE ARE!"が挙げられる。


・意識的な再定義

今回のツアー以前からFlowBackのLIVEに行ったことがある人は、"Let's Get Together"に対してどのようなイメージをお持ちだっただろうか。あの少し切なさを感じるイントロが流れると、「あぁ、もうこれでLIVEは終わりか…」と感じていたのではなかろうか。少なくとも私はそう感じていたし、セットリストをツイートする際に何度"Let's Get Together"を最後に書いたことか。そう、"Let's Get Together"は、最後にタオルを振り回す曲だったのだ。イントロについて「少し切なさを感じる」と表現したが、それは最後に歌われることが多かったことに起因しているかもしれない。

そんな曲を、今回のツアーでは、最後ではなく最初に、しかもタオルを振り回すのではなく歌とダンスで魅せたのだ。とは言え、この曲を最初に持ってきたのはこのツアーが初めてではない。しかしその時は、LIVEの終わりを感じさせるイントロでメンバーが登場することや、最初からタオルを振り回すことに違和感を覚えていた。

今回のツアーではいわばFlowBackのSEっぽくないSEで幕を開けた。それは私たちにいつもとは違う何かを感じさせた。身構えた途端に流れたイントロに「そうきたか」と思わずにはいられなかったし、最初のサビからキャッチーな振り付けがつけられていたことにも再び「そうきたか」と思わずにはいられなかった。ダンスボーカルグループのLIVEのスタートを切るにふさわしい、ダンスと歌で魅せる曲になっていたのだ。

"Let's Get Together"は、「終わりの曲」という概念が壊され、「始まりの曲」として再定義されていた。

では、"Come A Long Way"はどうだろうか。デビュー曲であるこの曲は、「"ここまでやってきた"という意味を持つ」と、メンバーの口から語られてきた。LIVEではインディーズ時代やデビュー当時を想起・想像させ、感傷的な雰囲気になることが多かった。そして、大事な曲であるからこそ、LIVEの終盤に披露されることが多かった。しかし、このツアーでは、異なる意味合いを持ち、今までと異なる雰囲気が会場を包み込んだ。それは白ver.公演の際にはっきりとリーダーの口から述べられていた。「"ここまで長い道のりを歩んできた"という意味が込められていたが、"ここからまた長い道を歩んでいこう"という意味を込めて歌います。」と。白ver.公演では本編最後の曲であったが、黒ver.公演では、3曲目に披露されたのだ。白ver.公演での"ここからまた長い道のりを歩んでいこう"という意味を込めるという曲フリで始まった"Come A Long Way"、黒ver.公演での、始まりの曲として再定義された"Let's Get Together"、"Heartbreaker"に続いて、今までにない勢いと熱を帯びた"Come A Long Way"。どちらにしても、これまでの「昔を懐かしむエモーショナルな曲」から「新たな一歩を踏み出す原動力となる曲」として再定義されたのだ。


・無意識の再定義

2017年9月6日リリースの4th Single "WE ARE!"。赤坂BLITZでのワンマンライブのアンコールで初めて披露された時の衝撃は、今でも覚えている。この曲は、FlowBackとして生きる5人の生き様を描いたような楽曲だ。つまり、このWEとはFlowBackのことを指す。

しかし、今回のツアーではWE = FlowBackにとどまらなかった。ただFlowBackだけが俺たちはこうだ!と叫んでいるのではなかった。会場にいた人全ての思いが会場の中心に集まり、心が通い、共鳴し合った。その場にいた全員で"WE"であったのだ。よくグループのアーティストに対して、1人でも欠けたらそのグループが成り立たないという意味が込められた方程式が使われる。あの引き算のやつ。正直ださいなと思っていた(今でも思っている)が、あえて、方程式で表すと、"WE ARE!"の"WE"は、"WE = FlowBack × FBF × FBC"と改めて定義づけられた。

 


2. FBCの存在の顕在化

次に、FBCの存在の顕在化である。一応説明しておくと、FBCとはFlowBackCrewの略で、FlowBackのスタッフさんのことである。もちろんこれまでもスタッフさんの存在は認識していたし、FlowBackが活動する上でも、私たちがFlowBackを応援する上でも、欠かすことのできない存在であった。しかし、このツアーではとりわけスタッフさん、すなわちFBCの存在感が大きかった。

FBCという言葉が使われて始めたのは、おそらく昨年の5周年LIVEの時だ。(ちなみにメンバーのツイートの中でFBCrewで検索をかけると2014~15年頃にTATSUKIが使っていることが確認できる) その時からたまにFBCという言葉が用いられることがあったが、ツアー中は特にメンバーがSNSFBCのことを書いていて、よくFBCという言葉を見かけた。メンバーの言葉からは、FlowBackFBCに対し、愛と尊敬の念を持っていることが感じられた。そしてLIVEに行くと、FBCFlowBack愛を感じることが多々あった。そもそも25公演ものツアーを全公演全力で支えてくれていること自体が愛でしかない。

これまで好きになったアーティストはたくさんいるが、そのアーティストのスタッフさんにまで思いを馳せたことがあっただろうか。もちろん人によって好きになったアーティストも違えば、応援のスタンスも異なるだろう。だからスタッフさんとの距離が近く、スタッフさんと仲良しだという人もいるかもしれない。しかし私は初めて経験したのだ。名前も顔もわからないFBCを認識し、思い、感謝したのは。

もしかすると「スタッフは裏方の人間だから、表に現れるべきでない」と考える人もいるかもしれない。しかし、どうしてもFBCはただの裏方とは思えないのだ。それは、FlowBackFBCとFBFは、それぞれ独立した存在ではなく、三位一体であるからだろう。FlowBackが存在しなければFBCもFBFも存在しない。FBCがいなければ、FlowBackは活動が制限されていただろうし、 FBFは今までのようにFlowBackの音楽を享受することはできなかっただろう。 FBFがいなければ、FlowBackは今の今まで活動を続けていなかったかもしれないし、FBCという存在が生まれていなかったかもしれない。 "WE = FlowBack × FBC × FBF"の方程式が示すように、FBCは単なる裏方ではなく、私たちの一部なのだ。

FBCの存在の顕在化は、FlowBackFBCとFBF、それぞれの関係性を明確化した、とまではいかないが、三位一体の関係性を明らかにし始めた。


3. 熟考の契機

最後に、熟考の契機である。今思えば、ツアー初日を迎える前から、考えることのきっかけを私たちに与えていた。昨年の5大都市ツアーのタイトルは"I AM"であった。FlowBackとはどういった存在かを知らしめるという意気込みが垣間見えるタイトルだ。そして、今回のツアータイトルは"The Answer"。昨年自己紹介をしたと思ったら、今年は"答え"だ。ツアーの詳細が発表され、"答え"を見つけるというミッションが与えられたが、あまりにも抽象的で頭に疑問符が人も多かっただろう。

私自身もそうだった。彼らが探している答えとは何か、そもそも何を問うているのか。私が見つけ出すべき答えとは何か、何を自分に問うべきなのか。そもそもこのツアーに行って問いへの答えが導き出せるのか。頭をフルに回転させて考えた。

ツアー中も、私は様々なことを熟考した。ツアーが始まる前から私の中に存在していた問い以外にも、様々な問いが生まれ、何度も自分に問いかけた。時には問うこと自体に嫌気が差して問いを放棄することもあった。結局、全ての問いに対して答えを導き出せたかと聞かれると、はっきりと「はい、できました。」とは言えない。しかし、瑣末なことに対しても、これまで目を伏せてきたことに対しても、向き合う機会となったことは事実である。

きっと、今これを読んでいるあなたも、このツアー期間中、何かに対して問題意識を持ち、そのことについて考えることがあったのではなかろうか。もっと言えば、私たちFBFだけでなく、メンバーやFBCも同様に、問いを見つけ、考え悩み続けたことだろう。

このツアーは、FlowBack本人にもFlowBackを応援する人にも、大小様々な事柄に対し深く考える機会を与えた。そしてFlowBack自身も、FlowBackという存在を顧み、土台を再構築したことだろう。

 


以上3点が、私が思うThe Answer ツアーの意義だ。長くなってしまって申し訳ない(推敲したかったが疲れたので諦める)

次回は、3点目に触れたこのツアーで生まれた問いとそれに対する答えについて書きたい。近いうちに書きたいけどいつになるのかしら。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

 

 

FlowBack LIVE TOUR 2019 “The Answer” ライブレポート

 

  「逆流」という名を携え、観客0人からキャリアをスタートさせた、5人組ダンスボーカルグループFlowBack。結成6年目に突入した彼らは現在、自身最大規模となる20都市25公演のライブツアー、"The Answer"を開催している。2月1日(金)梅田TRADを皮切りに、全国19都市24公演を駆け抜け、残すは4月27日(土)のツアーファイナルのみとなった。今回はダイジェスト版という形でこのツアーの模様をお伝えしたい。

  FlowBack(フロウバック)はセルフ楽曲における作詞作曲担当のMASAHARU、振り付け・構成担当でリーダーのTATSUKI、グッズデザイン担当のREIJI、スタイリング担当のMARK、ラップ担当のJUDAIの個性豊かな5人からなるダンス&ボーカルグループ。2013年に結成、2016年9月にメジャーデビュー、2017年11月に結成5周年を迎えた。ファンのことをFlowBackFamily略してFBF、スタッフのことをFlowBackCrew略してFBC(あるいはFBCrew)と呼ぶ。

  今回のツアーでは公演内容が2パターンあり、交互に開催していくという挑戦的なスタイルが採用されている。便宜上「白ver.公演」と「黒ver.公演」と呼び分けることを予め断っておく。

 

□クリエイティビティが光る白

  FlowBackのSEとしては珍しいギターのサウンドがメインのSEが会場を一気に高揚させる。白を基調とした衣装を身に纏った5人がステージに現れ、1曲目の“Let's Get Together”がスタート。普段ならタオルを振り回す曲がダンスで魅せる曲と化し、会場のボルテージは開演早々最高潮に。「あなたにとって最高の週末にします!」というリーダーTATSUKIの掛け声で始まったのは、ツアー開始直前にリリースされた“Weekend”。New Jack Swingを彷彿とさせるサウンドに、TATSUKIが振り付けしたダンスが光る。3曲目の“Heartbreaker”は、失恋ソングでありながらアップテンポかつフォーメーションチェンジを活かした巧みなコレオグラフで魅せる楽曲。ファンからの人気が高い曲の1つ。今では恒例となった終盤のMARKとREIJIの‘いちゃつき’も、ファンにとっては堪らない瞬間だ。

熱気に満ち溢れた会場で最初の3曲のパフォーマンスを終え、最初のMCに入る。それぞれ自己紹介が終わると、早速曲フリが始まる。4曲目は今回のツアーで初披露となる“Young and Free”。“Weekend”のカップリング曲である。ついつい体を揺らしてしまいたくなる、いつものFlowBackの楽曲とは少し違った味わいを持つこの曲は、二日酔いの気だるさと、夜通し宴を楽しむ高揚感の、一見正反対な側面が両方感じられる。新曲のパフォーマンスを堪能した後はLIVE定番曲の“Let Me Love You”がスタートし黄色い歓声が上がる。恋する甘酸っぱい気持ちを描いたポップなこの曲は、音源化はされていないものの、昨年開催された“I AM”ツアーで披露されて以降、LIVEでは定番の曲となった。披露されたばかりの頃は“ただ見るだけの曲”であったが、今では曲中の“Trust this”という歌詞を会場にいるほぼ全員が全力で叫ぶようになり、“一緒に楽しむ曲”に成長した。6曲目の“Be Mine”ではサビで一緒に踊ることができる振り付けがあり、ファンの一糸乱れぬ動きにメンバーが「シンクロ率やばいね!」と毎回のように驚きを見せた。

  2回目のMCでは、今回のツアーの企画「#FlowBackきたよ」に関する話を展開。この企画は、FlowBackがその日の公演の会場近くの場所に足を運び5人で写真を撮り、その場所について話をするという企画だ。度々脱線しつつもご当地の話題で笑いに包まれた会場の空気を、“FAMOUS”で一気に変える。サビ前のMASAHARUの「I wanna be your FAMOUS」という囁きに、心を掴まれない人はいないだろう。8曲目はギターやベースが効いた“Showstoppaz”。3rdシングルのカップリング曲であり、こちらも体を揺らしたくなるような1曲だ。2番を飛ばしブリッチ・ラストサビを歌い上げそのまま曲が終わると思いきや、MASAHARUが拳を挙げ音を止める。その拳を強く下に下げると同時に始まる“BREAKOUT”。思わず息を飲む演出でスタートしたこの曲は、2018-19年プロバスケットボールリーグのテーマソングとして、選手達の背中を押してきた。力強いパフォーマンスから一転、会場はしばし暗闇と静寂に包み込まれる。センターに佇むラッパーJUDAIに薄暗いスポットライトが当たると、言葉を紡いでいく。「未発表曲、“OVER DRIVE”……くらえ。」の一言で始まった“OVER DRIVE”は、FlowBack史上最も力強く、泥臭く、人間味溢れる楽曲だ。ハリケーンのごとく去っていき、SEが流れる。長く深い吐息が流れると、始まったのはTATSUKIとMARKのユニット曲“little bit mo’ ”。FlowBackの楽曲にはなかなかない艶やかさに会場中が陶酔する。うっとりしていると、銀色のジャケットと滴る汗が眩しいMASAHARUが突然ステージに現れる。iPadを駆使しDJ顔負けのビートメイクを披露すると、REIJIとJUDAIもステージへ登場。MASAHARUのビートメイク、REIJIのライブペインティング、JUDAIのフリースタイルラップの3つの要素が織りなすクリエイティビティに富んだセッションは、何が生み出されるのかとワクワクが止まらない、胸が高鳴るステージであった。

  セッションが終わるとTATSUKIとMARKがステージに再び登場。互いのユニットのパフォーマンスを褒め合う。TATSUKIから「結成当初から大切にしいている曲があります」とバトンを渡され「この曲は4年前に僕が書いた曲です。一言で言うと、失恋の曲です」と曲フリを始めるMASAHARU。「この曲をそれぞれで受け取ってほしい」と伝えると流れる“落ち葉”。終わりを迎えてしまった恋を、その恋の相手を、その相手に恋していた自分自身を、愛おしく思う気持ちが感じられる失恋ソングだ。そのままMASAHARU出演ドラマの主題歌であった“I SWEAR”へ。コーラスワークが印象的なこの歌は、タイトル通り異性への愛を誓ったラブソングである。恋の終焉を迎えた“落ち葉”に続けて聴く“I SWEAR”は、深く考えさせるものがある。

  しんみりとした雰囲気の中MCに突入。ここでは主にリーダーであるTATSUKIが思いの丈を打ち明ける。ツアー前に感じていた不安や、ツアーが始まってからの気付き。「答えがたくさん落ちてます」と、ツアーのタイトルである“The Answer”になぞらえて話す。終盤戦に向けJUDAIがコール&レスポンスを要求すると、メンバーの熱い想いに負けじと声を出すFBF。その声の大きさに時折圧倒されるメンバーも。会場が揺れるほどのC&Rからスタートしたのは“All This Time”。間奏でFBFが‘推し’の名前を叫ぶ場面があり、真っ正面から愛をぶつけられたメンバー達はどこか嬉しそうな笑みをこぼす。“All This Time”でヒートアップした会場に“WE ARE!”のイントロの重低音が響く。最後のサビではメンバーも含め会場にいる全員が人差し指を掲げ、会場全体が1つになった。「デビュー当時は‘ここまでやってきた’という意味があったけど、‘これから長い道のりを歩んで行きたい’という意味を込めて歌います」というTATSUKIの言葉で始まった最後の曲は、FlowBackのメジャーデビュー曲“Come A Long Way”だ。魂のこもったステップ、胸が張り裂けそうになる歌声。FlowBackが新たな一歩を踏み出そうとしていること、いや、踏み出したことを予感させた。

  メンバーが捌け暗転ししばらく経つと会場に湧き上がったのは「アンコール!」ではなく「FlowBack!」の声。FlowBackの単独ライブならではの光景だ。FlowBackコールが続く中、突如“イケナイ太陽”のイントロが流れる。最初のパートの直前でステージ袖から少年のように勢いよく駆け込んでくる黒のツアーTシャツを着たメンバー達。本編を終え、少し下がっていた会場の温度が再び急上昇する。MCではREIJIがデザインしたツアーグッズの話題になり、メンバー同士が肩を寄せ合ったりMARKとREIJIが寸劇を始めたりと、本編最後とは異なる緩やかな雰囲気が流れる。白ver.公演も残すところあと1曲。生きていると良い時も悪い時もある。それはFlowBackだけでなくFBFもだ。どんな時でも互いに傘をさし合う存在でありたい。そう願うメンバーの想い込められた“After Rain”。優しい歌声が会場を包み込み、エモーショナルな雰囲気で幕を閉じた。

 

 

□原点回帰の黒ver.公演

  白ver.公演と同じく、FlowBackのSEには珍しいギターメインのそれが、会場に緊張と興奮を与える。メンバーがステージに登場し、白ver.公演と同じく“Let’s Get Together”で鮮烈なスタートを切る。ただ、白ver.公演との決定的な違いは、衣装である。白ver.公演では白を基調とした衣装を身に纏っていたメンバーは、黒を基調とした衣装を身に纏って登場した。1曲目で会場を盛り上げると、JUDAIの「Are you ready!!」の掛け声で“Heartbreaker”がスタート。3曲目はメジャーデビュー曲である“Come A Long Way”。2ndシングルから1stシングルという流れは、彼らの軌跡を辿っているようにも感じる。

  自己紹介を終えると“Young and Free”、“Let Me Love You”、“Be Mine”で緩急をつけつつ会場の温度を高めていく。ご当地ネタのMCで笑いの絶えない和やかな空間を作り上げると、JUDAIの「僕たちの名刺代わりの1曲です」という曲フリで、先程のMCとは打って変わって“BOOYAH!”でクールな一面を見せる。この曲は今や知らないものはいないと言っても過言ではないクリエイターSTY氏が手がけた、中毒性の高い楽曲だ。それぞれの個性が顕著に現れたソロダンスパートも必見である。続く“Turn Around”は、“Heartbreaker”のカップリング曲であるが、“Be Mine”や“Showstoppaz”といったカップリング曲たちと比較すると披露される頻度が低く、‘レア曲’と化している。TATSUKIの幼馴染であり、今話題のR&BシンガーRIRIのバックダンサーとしても活躍中のmonaが振り付けた、男らしくもどこか繊細なダンスで魅せる。恍惚と見入るFBFの目を覚ますかのように始まる“VERSUS”は、オリコンデイリーランキング3位を記録した1stフルアルバムの表題曲だ。こちらもSTY氏が手がけた楽曲であり、燃えたぎる炎を宿したパフォーマンスに、さらに会場のボルテージが上がる。その熱を帯びたまま“OVER DRIVE”がスタート。ツアー中盤からは、曲前にJUDAIがマイクを通さず地声で自身の想いを伝えるという演出に。静かな会場には、大きな声で言えないようなことも包み隠さず話す、少し震えたJUDAIの声と、微かにすすり泣くFBFの声が響いた。“OVER DRIVE”後、ガラスの砕破音から始まったのは、REIJIとJUDAIとMASAHARUのユニット曲“Still in Love”。後ろ髪引かれる思いを男性目線で熱く歌ったこの曲は、静と動のギャップに五感を奪われる。暗転しMARKがちょこんとステージに現れる。「原点に戻る機会があった」と、MARKとTATSUKIがそれぞれの原点である歌とダンスのみで勝負に出る。aikoの“カブトムシ”を切なく歌い上げるMARK、歌詞やトラックに呼応したしなやかなダンスを披露するTATSUKI。まさに生涯忘れることはないだろう。

  MCで白ver.公演同様互いのユニットのパフォーマンスを褒め合うと、結成当初から大切にしている“落ち葉”、1st フルアルバム収録の失恋ソング“Bye Bye”を歌い上げる。再びMCに入りTATSUKIがツアーにかける想いを丁寧に言葉にし、会場にセンチメンタルな空気が漂う。その空気を一掃するようなC&Rから“All This Time”、“WE ARE!”と一気に駆け抜ける。「今のFlowBackのベスト」だという最新シングル“Weekend“を披露。会場が各々音に酔いしれ音を楽しむ、エンディングにふさわしいライブならではの空間が出来上がった。

  FlowBackコールの中流れ始めたのは、MARKが作詞した“A.N.L”だ。この曲も最近では‘レア曲’化しているため、FBFからは悲鳴に近い歓喜の声が上がる。その後のMCでは毎回グッズ紹介を行なっているが、今回のツアーTシャツは、袖を捲ると右には‘FlowBack’、左には‘FBF’の文字が現れる。一見離れ離れのようだが、Tシャツを着た人と隣合わせになると‘FlowBack’と‘FBF’が近づく。また、タオルも同様に左右両端にそれぞれ文字が刻まれており、タオルを広げて持つと‘FlowBack’と‘FBF’が近づく。REIJIの人柄を表すようなハートフルなデザインに、会場中が心を打たれる。終盤の公演では、タオルの話題になるとPA卓のFBCrewが自らタオルを掲げるという微笑ましい場面も見られた。そんな温かい空気の中、「FBFに届けたい1曲」という曲フリで始まった“ALWAYS”は、今回のツアーのちょうど1年前にリリースされた曲である。ラップパートではJUDAIがメンバーを指名しそのメンバーがラップパートの前半を歌うというサプライズが。笑いあり涙ありで黒ver.公演は幕を閉じた。

 

  ある意味でファンの期待を全て裏切り、25公演中24公演を一気に駆け抜けたFlowBack。25公演目はどのような構成になるのか。彼らが導き出した"答え"とは何か。ツアーファイナルを迎えたその先には何が待っているのか。注目のツアーファイナルは4月27日(土)品川ステラボールにて開催。彼らのバイタリティを是非とも肌で感じていただきたい。

 

◎白ver.セットリスト

01 Let’s Get Together

02 Weekend

03 Heartbreaker

-MC-

04 Young and Free

05 Let Me Love You

06 Be Mine

-MC-

07 FAMOUS

08 Showstoppaz(2番なし)

09 BREAKOUT

10 OVER DRIVE

11 little bit mo’

12 REIJI×JUDAI×MASAHARU session

-MC-

13 落ち葉

14 I SWEAR

-MC-

15 All This Time

16 WE ARE!

-MC-

17 Come A Long Way

 

—Encore

18 イケナイ太陽

-MC-

19 After Rain

 

 

◎黒ver.セットリスト

01 Let’s Get Together

02 Heartbreaker

03 Come A Long Way

-MC-

04 Young and Free

05 Let Me Love You

06 Be Mine

-MC-

07 BOOYAH!

08 Turn Around(1番のみ)

09 VERSUS

10 OVER DRIVE

11 Still in Love

12 MARK×TATSUKI stage

-MC-

13 落ち葉

14 Bye Bye

-MC-

15 All This Time

16 WE ARE!

-MC-

17 Weekend

 

—Encore

18 A.N.L

-MC-

19 ALWAYS

 

 

 

【LIVE information】

4月27日(土)

LIVE TOUR 2019 “The Answer” FINAL

@品川ステラボール

OPEN 17:00 / START 18:00

TICKET https://eplus.jp/sf/detail/1697180001

 

5月3日(金・祝)

Fm yokohama 「みなとみらいKINGDOM」E★K radio公開収録

クイーンズスクエア横浜1F クイーンズサークル

時間 16:00〜17:30

出演者 森崎ウィン(PRIZMAX)、SHIN(CROSSGENE)、MASAHARU(FlowBack)

FlowBackのパフォーマンスあり

https://www.fmyokohama.co.jp/pc/topics/6051

 

5月4日(土)

肉フェス TOKYO 2019

@ お台場特設会場お台場青海地区P区画

出演時間 11:30〜12:00頃

https://www.nikufes.jp

 

5月6日(月・祝)

SPINNS FES vol.2

@ 川崎CLUB CITTA’

OPEN 15:00 / START 15:45

出演者 FlowBack天才凡人、IVVY、CUBERS、First place、FIZZY POP(ナチュラル炭酸)、FREAK、BUZZ-ER.   and more

https://www.spinns.jp/feature/spinnsfes2019/

 

Official Site】

http://www.flowback05.com/

Twitter

@FlowBack05 https://twitter.com/FlowBack05

Instagram

flowback_insta https://www.instagram.com/flowback_insta/

 

 

 

タイムフリーの功罪

午前1時。引っ越したばかりの部屋のベッドに寝転がる。

引っ越し業者のロゴ入りの段ボールが積み重なった部屋は、家具は所定の位置に配置されているもの、整理することを放棄された荷物たちがところどころに散乱している。

物は多いのに、その部屋は、空っぽだ。

新生活への不安、思い通りにいかない焦り、成長していない自分への嫌悪。

心に空いてしまった穴からしゅーっと空気が漏れ、しぼんでしまっている。一度空いてしまった穴は、なかなか塞がらない。

今日は水曜日、いや日付が変わったから木曜日か。そういえばいつも聞いているラジオは水曜日の深夜だった。すっかり忘れていた。今からでも遅くない。

ラジオ配信アプリを起動して、聞きたい番組を探す。便利なもので、放送中の番組でなくても、1週間以内に放送された番組ならいつでも聞くことができる。つまり、つい1時間ほど前に終了した番組が聞ける。つい1時間ほど前までみんなが"リアタイ"していた番組が聞ける。なんて便利なんだ。

イヤホンから聞こえ始めたあなたの声は、いつもと変わらないテンション。いつもと変わらない声。本当にいつもとなんら変わらない。だけど、今日は少し違ったように聞こえる。

いつも以上に、心に、体全身に、響き渡る。あなたが言葉を発する度に、その姿が思い浮かぶ。私の頭の中に、ラジオのブースで喋っているあなたが生きている。

この番組は生放送ではないから、所謂"リアタイ"をしても、DJがリスナーと同じ時間を共有しているわけではない。ましてや今私は"リアタイ"をせずに放送済みのラジオを聴いている。

私の頭の中に生きているあなたは、時空を超えて、さらに時空を超えて、やってきた。いや、逆かもしれない。私が、時空を超えて、さらに時空を超えて、あなたの元へ行ったのかもしれない。

そんな簡単に時空を超えられていいのだろうか。人はいつからそんな超能力者になったのか。そういえばつい先日、ブラックホールの写真が公開された。空想上の存在、とまではいかないが、その域に達するほど、ブラックホールの存在は現実味がなかった。しかし、その存在を証明する写真が公開された。未だ謎だらけの宇宙科学が新たなフェーズに突入したことを知らしめる1枚だった。いずれタイムリープについてもなんらかの一歩を踏み出していくのだろうか。いや、まあ、タイムフリーは別に時空超えてる訳ではないんだけどね。

リアルタイムで聞くと、たとえ録音されたものであっても、DJと同じ時間を共有している気になれる。リアルタイムで聞くからこその、ありがたみや重みがある。

こんなに書くと、タイムフリーアンチであるように思われるかもしれないが、タイムフリーには何度もお世話になっている。正直に言うと、リアルタイムで聞くよりもタイムフリー機能を使って聞くことの方が多い気がする。いつもお世話になってます。

しかし、これは私の悪い癖だが、期限付きとは言え、聞き逃してもいつでも聞くことができると、また今度時間ある時でいいやと思って、結局聞かずに終わるということがある。結構あった。

あると嬉しいけど、それでいいのか?とも思ってしまう。自分の意識を変えればいいだけの話かもしれないが。

いつもはただぼーっとラジオを聴いているが、今日はラジオを聴きながら、ごちゃごちゃと考えてしまった。あっという間に聴き始めてから30分経ち、その番組が終わった。最後の「バイバイ!」の声は、やはりいつもと変わらなかった。

いつもと違う部屋で聞くいつもと変わらないあなたの声。放送時間は過ぎていたけど聞けて良かった。でも、聞くんじゃなかったな。このまま寝たら明日の朝鏡見て絶望するんだろうな。でも今日はこのまま眠りたい。